เข้าสู่ระบบそもそも、前衛だって俺がやる自信あるし。というか、下手にAやBランクの大人が入ってきたら絶対仕切り始めるじゃん。自由がなくなって、さらに面倒くさいのはごめんだって。
女の子たちが、ギルマスの提案に不安そうに俺を見てくる。そらの背中に、彼女たちの助けを求める視線が突き刺さった。
「……遠慮しておきます。とりあえず今日は、登録だけお願いします」
そらは、女の子たちを安心させるように、きっぱりと断った。彼の声には、パーティの編成を他人に委ねるつもりはないという強い意志が感じられた。
「そうか。まぁ、ギルドカードはもうできてるはずだ。パーティの登録もな」
ギルマスが諦めたように頷き、受付嬢に目を向ける。彼女はすでに用意していたようで、小走りで俺たちに歩み寄ってきた。
「こちらです」
受付嬢が四枚のカードを差し出す。そらは、その真新しいギルドカードをしっかりと受け取った。手のひらに伝わるカードの感触が、これから始まるハンターとしての生活を予感させた。
――はっ!? ……Sランクって書いてあるんだけど!?
そらの視線は、自分のギルドカードの隅に記された文字に釘付けになった。
さっきAランク確定とか言ってなかったっ!?
彼は内心で驚愕に目を見開いた。特大の判定石を破壊した結果、ギルド側が勝手に最高位のランクを付けてしまったらしい。
ちょ、待っ――まあ、使うことも見せることもないし……ま、いっか。
そらは、すぐに面倒事を避けるための最良の選択を導き出した。このランクが公になることは避けたいが、この場で抗議して騒ぎを大きくするのは得策ではない。
女の子たち、嬉しそうに笑ってるし。
エル、ステフ、ブロッサムは、手にしたカードを見て満面の笑みを浮かべ、声を揃えて感謝を伝えてきた。
「「「ありがとうございます!!」」」
その純粋な喜びの表情を見て、そらの心に浮かんだのは複雑な諦めと、わずかな安堵だった。
……まぁ、うん、よかったのかな。
「では、今日は帰ります」
そらは、手に入れたばかりのギルドカードをしまいながら、ギルマスに告げた。
ギルマスが怪訝な表情で問いかけてくる。
「この町に住んでるわけじゃないんだろ? 見たことない顔だし。宿屋か? 明日、受付嬢に迎えに行かせるぞ?」
「いえ、大丈夫です。近くの小さな村から来てるだけなので。時間がある時にまた来ます」
そらは、詳細を誤魔化すように、曖昧な返事をした。
「……ああ、わかった。それで問題ない」
ギルマスは、何かを察したように深く追求することはせず、静かに頷いた。
「それじゃ、有り難うございました」ギルドの応接室の扉を開けると、ギルドの中のざわめきがまた耳に届いてきた。彼らの一挙手一投足に注がれる、熱を帯びた視線も感じた。そらは、その空気に居心地の悪さを覚えながら、そのまま足早に外へ出る。
新鮮な外の空気を吸い込み、そらは深い溜息をついた。
――はぁ、疲れたぁ……。やっぱり、こういうのって面倒い。
彼は、予想外の騒動と、Sランクという重い肩書きを背負わされたことへの精神的な疲労を覚えた。
「次は――服屋だ!」そらがそう宣言した瞬間、ブロッサムとエルの目がキラッキラに輝いた。彼女たちの瞳には、新しい服を選ぶことへの純粋な期待と喜びが満ちていた。
「好きなのを買っていいよ。パジャマも下着もね。あと、アリアとノアの分も忘れないでね!」
そらの言葉に、二人は飛び跳ねるように喜んだ。
「やったー!ありがとう、そらくんっ!」
エルは最高の笑顔を見せた。
「ありがとうございますわっ!」
ブロッサムは、上品ながらも隠しきれない興奮を滲ませて礼を言った。
「……ありがと」
ステフもまた、控えめに、しかし感謝の気持ちを込めてそらにお礼を言った。
ふと振り返ると、ブロッサムが少し離れた棚の前で立ち止まっていた。彼女は、他の服には目もくれず、ある一着に意識を集中させているようだった。
その小さな手には――少し高そうな、深みのある紫色のドレス。光沢のある上質な布地に、小さな宝石のような装飾が肩口に施されていて、全体に気品が漂う。子ども用でありながら、まるで小さな貴族が正装として着るような、優雅さを備えた一着だった。ドレスの布地は、触れれば滑らかでひんやりとしていそうな質感だ。
ブロッサムはそれをそっと両手で抱え、ちらちらとこちらをうかがっている。口を開くでもなく、ただ遠慮がちに、それでも――どこか欲しそうに。その瞳には、憧れと諦めが入り混じった、複雑な感情が揺れていた。
「……どうしたの? そのドレスが欲しいの?」
そらが優しい声で尋ねると、彼女は一瞬ビクッと肩を震わせ、すぐに目を伏せた。その仕草は、身分をわきまえている者特有の遠慮を示していた。
「……だ、だめですわよね。高そうで……わたしなんかには、もったいないですし……」
その言葉に、そらの口元が自然とほころぶ。彼女の控えめな自己評価が、彼の心に温かい感情を呼び起こした。
そらは、無防備なエルの姿を前に、理性と本能の狭間で揺れる。湯気の中とは違う、寝起き特有の無防備さが、彼の心臓を早鐘のように打たせた。 (あと、もう少しで見えそう……じゃなくて起きよう!) 彼は、これ以上意識を集中させるのは危険だと判断し、強い意志で気持ちを切り替えた。 二人の可愛い寝顔と、温かい重みを背後に残し、そらはそっとベッドから抜け出す。ギシッというわずかな音も立てないよう、細心の注意を払って、静かに部屋を出た。(さー、今日は何をしようかな~) そらは、新しい朝の空気を吸い込みながら、今日の予定を頭の中で巡らせた。女の子たちには護身用の銃も渡してあるし、結界も連絡もできているから安全だ。 ギルドにでも行くか? 探検に行くか? 魔法の特訓? 穏やかな日差しが差し込むリビングで、皆がぞろぞろと目を覚ましてきたので、朝食を取ることになった。 テーブルにはふっくらと温かいパン、彩り豊かな新鮮なサラダ、湯気を立てる濃厚なスープ、そして瑞々しいフルーツが並んでいる。焼きたてのパンの香ばしい匂いと、スープの芳醇な香りが、食欲をそそった。 エルが待ちきれない様子で手を伸ばして、パンをひとつ取ると、ブロッサムがにっこりと優雅に笑って「おはようございます」と言い、皆に食事をすすめてきた。「さあ、皆さま。温かいうちにいただきましょう」 皆は思い思いの笑顔で席につき、賑やかな会話と共にフォークとスプーンを動かし始める。「このスープ、美味しいね!」「このパンは甘いのです!」といった、弾むような声が飛び交い、リビングは朝の幸福感に満ちていた。そらが温かいスープを一口飲みながら、みんなに聞いた。「みんなは今日、何をしたい?」 エルがパンにバターを塗りながら、口いっぱいに食べ物を頬張ったまま答える。「冒険かなぁ」 その声は期待に満ちていた。 ブロッサムは優雅に、ゆっくりとスープを飲みながら、大人の意見を提示する。「ギルドじゃないかしら? 来てほしいって言われていましたし」
「……わたしも好きです。ですから、わたしもお隣で一緒に寝ますわ」 そのブロッサムのまっすぐな告白に、エルは驚きと悔しさを滲ませる。「えぇ!? なんでぇ~! ずるいよー! とぉーっても、ずるぅぅぅいよぅ!」「早い者勝ちですわ」 ブロッサムは、勝利を確信したかのように、わずかに口元を緩ませた。 急展開だな。そんな素振り、まったくなかったと思っていたのに……。そらは、戸惑いながらも、急速に変化する彼女たちの感情の動きに、胸の奥がざわつくのを感じた。 ふと、ブロッサムがこちらを見つめてきて、ほんの少し微笑んだ。その微笑みは、昼間のお風呂での照れ隠しの表情とは打って変わり、どこか挑発的で魅力的だった。「今日は、ぷにぷにはないのですか?」 えっ!? そらは予想外の言葉に、驚いて聞き返す。「……いいの?」「はい。もちろんですわよ」 ブロッサムは目を逸らすことなく、静かに断言した。その返答は、彼女の内面の変化を如実に物語っていた。 すると、エルがまた大きな声をあげる。その声には明確な嫉妬が込められていた。「えぇ!! もっとズルイ! すごくズルイよ!」 エルが抗議する間にも、ブロッサムはそっと顔を近づけてくる。薄い紫色のサラサラとしたウェーブのかかった髪が、そらの頬をかすかにくすぐった。大きな紫色の二重の瞳が、近くでそらを見つめる。 キレイだな。 そらは、間近にあるブロッサムの美しさに、思わず見とれた。 そっとブロッサムのほっぺをぷにぷにっと触ると、その柔らかく温かい感触が指先に伝わった。 同時に、エルがギャーギャー騒ぎ出す。「ちょっとぉ! ずるいってばっ! わたしも! わたしもなの!」 仕方ないので、そらは片手でエルの頬もぷにぷに。エルは抗議の声を上げながらも、気持ちよさそうに目を細めた。一瞬、納得いかない顔をしていたが、満足げな表情に変わり、静かになった。 そこ
そらは思わず笑みをこぼす。うん、知ってた。この返事は想定内だよ。 怒られなかっただけ、優しさが増した……のかもしれない。彼は、ブロッサムの微妙な変化を嬉しく感じていた。 たしか、ブロッサムも貴族なんだよな。あんまり表に出さないけど、所作の一つひとつに品がある。湯船に浸かっている姿でさえ、どこか優雅な雰囲気を纏っている。普段は気づかないけど、実は同年代よりスタイルいいし、可愛いし……。 そらが泡を流しながらふと彼女の横顔に目をやると、ブロッサムは湯船の縁に肘をついて、頬杖をつきながらぼんやりと湯気の向こうを見ていた。その長い髪は湯に濡れて肩に流れ、色白の肌を際立たせていた。けれど、その視線は時折そらの方へと揺れていて、何かを言いたげな気配があった。 ……明日も一緒に入ってくれるかな。 そらは、満たされた温かい気持ちと共に、淡い期待を抱いた。 そんなことを考えていたら――「皆ずるーいっ! 居ないと思ったらお風呂にいたぁー!」 脱衣場の戸が勢いよく開け放たれ、明るい声と共にエルが突撃してきた。湯気が立ち込める浴室内に、眩しいほどの存在感を放つ。 遅れて来たエルは、いつものように無自覚で、何も隠すことなくそのまま浴室内へと足を踏み入れた。濡れて光る白い肌が、湯気の合間から視覚的に飛び込んでくる。彼女の健康的な肢体は、少女らしい弾力と丸みを帯びており、水滴を弾く様が鮮やかに目に焼き付いた。 ブロッサムは「きゃっ!」と小さな悲鳴を上げ、慌てて湯に身を沈めて顔を隠す。一方のエルは、そんな周囲の反応など気にする様子もなく、屈託のない笑顔を浮かべたまま、そらのそばまで無防備に駆け寄ってきた。その奔放な姿が、浴室の熱気と共に、そらの視界いっぱいに広がった。「ちゃんと声かけたよ?」 そらは、呆れたような表情を浮かべながら答えた。 エルがぷくーと頬を可愛く膨らませて文句を言ってきた。その仕草は、全く悪びれる様子がなかった。「聞こえなかったもんっ!」 そんなエルを軽
……でも、普通リビングにあんな大きなベッド置かないよね? いや、小さなベッドすら普通は置かないぞ? 彼の頭の中で、常識的な思考が警鐘を鳴らした。この家は、もはや彼の知る一般的な「家」の範疇を超えていると、改めて認識した。――そして夕方。 暖かな日差しが西に傾き、家の中がオレンジ色に染まり始めた頃、そらはすっきりとした声を上げた。「お風呂に入るよー!」 誰に言うでもなく、リビングにいる皆に向けて大きな声で宣言しながら、清潔なタオルを手に脱衣場へと向かった。新しく作ったばかりの広い風呂場は、彼にとって一日の疲れを癒す楽しみの一つだった。 お風呂に湯をためながら、そらは服を脱いでいた。温かい湯気が立ち込め始め、肌に微かな湿り気を感じる。そのとき――見慣れない気配にハッと振り向くと、脱衣場に新顔が立っていた。「……あれ? ブロッサム!? 一緒に入るの?」 そらが驚いて声をかけると、ブロッサムは真新しいタオルを胸元に大切そうに抱えながら、すっと顎を上げてこちらを見返す。その仕草はいつもの気高さを保っていたが、その瞳はわずかに揺れていて、頬にはうっすらと朱が差していた。湯気のせいだけではない、微かな緊張が彼女の表情から読み取れた。「いけませんか? お風呂、広くなったんでしょう?」 言葉は理路整然としていたが、裏腹に、彼女はタオルの端をぎゅっと握りしめている。その小さな指先の白くなっている様子からも、そらの視線を強く意識しているのが伝わってきた。彼女の淑やかな振る舞いと、内に秘めた恥じらいが、脱衣場の空気をほのかに甘くしていた。「いや、別にいいけどさ……目のやり場に困るんだよね」 そらが苦笑しながら、正直な気持ちを言うと、ブロッサムは一瞬だけ目を見開き、すぐにそっぽを向いて、長い髪をかき上げた。その仕草は、動揺を隠そうとする精一杯の虚勢だった。耳の先まで赤く染まっていて、照れ隠しの仕草が露骨だった。「では、目をお瞑りになって入ればいいのではなくて?」 その言
一通りの作業を終えたところで、エルが満足げな笑顔から一転、指をぴょこっと上げる。「ねぇねぇ。リビングに大きいベッド、ないのぉ?」 彼女は、純粋な疑問といった表情でそらを見上げた。「もう必要なくない? 各自の部屋にベッドあるでしょ?」 そらは、意図が分からず首を傾げた。個室とベッドを用意したのだから、リビングで寝る必要はないはずだ。「えぇ〜〜〜」 エルから、心底不満そうな声が漏れる。すると、アリアがすかさず勢いよく乗ってきた。「必要だと思うのです!」「うん、必要だと思うの」 と、ノア。二人は、エルに同調するようにそらに訴えかける。 まさかの……「必要だと思いますの」 と、優雅な口調のブロッサムまでが、きっぱりと賛同した。彼女たちの間には、強い結束が生まれているようだった。「……うん。必要……ですね……」 と、蚊の鳴くような声でステフまでが控えめに賛同した。彼女は、皆の意見に逆らうことができず、少し戸惑いつつも頷いたようだった。 え、マジで? そらは、予想外の全員一致に、驚きで目を丸くした。個室を用意したのに、まだリビングで一緒に寝たがっているという事実に、彼の思考は追いつかなかった。 (なんでだよ!?個室作った意味ないじゃん!)と内心で叫びつつも、そらは少女たちの純粋な眼差しに抗えない。彼女たちの「必要」という声には、抗いがたい説得力があった。彼の常識と、この幼い「家族」の理屈が、いつも微妙にズレている。でも、それがどこか心地よかった。このズレこそが、彼にとっての新しい日常であり、満たされた時間だった。 リビングはかなり広く作ったから、スペースに問題はないけど……みんな、部屋のベッドはどうするんだ。 そらは、深く考えるのをやめて、観念した。仕方ないので、魔法でさらに大きなベッドをリビングの隅にゆったりと設置した。そのベッドは
すると、エルが先ほどの「便利だね」発言のことを思い出した様子で、不安そうにそらを見上げて聞いてきた。「ねぇ……怒っちゃった? そらくん?」「怒ってないよ、大丈夫だよ?」 そらは、彼女の頭を優しく撫でて安心させる。そらの腕に寄り添うようにエルが近づき、にこっと顔を覗き込んでくると、甘えた仕草と声で甘えてくる。その表情は、まるで子猫のように可愛らしい。「じゃあ、ほっぺぷにぷにしていい〜?」 エルは、上目遣いでそらを見つめた。「意味が分かんないって……ほら、帰るぞ」 そらは、困ったように笑いながら、エルの甘えを軽くあしらった。しかし、その声には突き放すような冷たさはなかった。「ねぇ〜ねぇ〜、そ〜ら〜く〜んっ!」 エルは諦めずに、そらの腕にさらに体重をかけて、楽しそうに甘え続ける。その声は、まるで子守唄のように明るい響きを持っていた。 そらは、そんなはしゃぐエルをなだめつつ、後ろで微笑んでいるブロッサムとステフと共に、にぎやかに町を後にする。市場の喧騒を背後に、4人の影が並んで伸びていった。 周囲に不審な気配がないか探索魔法で慎重に確認しながら、そらは先導する。湿った土の匂いがする洞窟を抜け――無事に、彼女たちが待つ我が家へと帰ってきた。「「「「ただいまー」」」」 4人の声が揃い、家の中に温かい響きをもたらす。「お帰りなさいなのです」「お帰りなさいなの」 アリアとノアが、満面の笑みで、ぴょんと跳ねるように出迎えてくれる。その姿は、まるで待ちわびた小動物のようで、そらたちの帰宅を心から喜んでいるのが伝わってきた。「良い子にして、二人で待ってたのです」 アリアは、誇らしげに胸を張って報告した。 エルとブロッサムは、町やギルドでの出来事を、身振り手振りを交えながら楽しそうに話し始めた。新しい服の話、そしてそらが特大の判定石を粉砕した衝撃的な出来事まで。「スゴくスゴイなのです!」「いっぱい







